紅茶にも色々な種類がありますが、華やかな香気と爽やかな味わいを楽しめる「ダージリン」は、世界で最も有名で人気のある紅茶です。今回はこのダージリンについて、産地や歴史、クオリティーシーズン別茶葉の特徴、美味しい淹れ方、一度は飲みたい絶品ダージリンの紹介など、詳しく解説したいと思います。
ダージリンとは?
ダージリンはインドのダージリン地方で作られている紅茶の名称です。産地の特徴とダージリン紅茶の歴史についてみていきましょう。
産地の特徴
ダージリンは、ブータンとネパールに挟まれた東ヒマラヤ山脈の霊峰「カンチェンジュンガ」の麓にある高原で栽培されている紅茶です。標高が500~2000mと高く、沢にそった急斜面に美しい茶畑が広がっています。昼夜の寒暖差が激しく、そこで発生する霧によって、ダージリンの味わいの特徴ともいえる華やかな香りや爽快な渋みが生み出されます。
インドは紅茶生産国の中でも、年間総生産量約85万トンと生産量・国別消費量ともに世界第一位の国ですが、その中でもダージリンの生産量はわずか1万トンほどしかありません。「紅茶と言えばダージリン」といわれるほど有名な紅茶ですが、生産量がとても少ないため希少価値が高く、高値で取引されています。
ダージリンの歴史
ダージリンでお茶の栽培が始まったのは、1835年イギリス東インド会社の領地となったことがきっかけでした。イギリス人博士が自宅の庭で茶の栽培に成功し、それから徐々に茶園の数も増えていきました。現在では大小様々な茶園が80~90ほどあり、それぞれの茶園によって特徴や味わいの違いを楽しむことができます。ダージリンは年に3回の収穫時期があり、季節により呼び方や味が変わります。紅茶好きの方は、毎年このクオリティーシーズンの新茶を心待ちにしていますね。
世界三大銘茶とは?
紅茶には世界三大銘茶と呼ばれているものがあり、スリランカのウバ、中国のキーモンと並びインドのダージリンもその中のひとつに数えられています。ダージリンは紅茶の中でも、特に香気が素晴らしく「紅茶のシャンパン」とも呼ばれています。ダージリンの芳醇な香りはマスカテルフレーバーという独特のもので、マスカットの香りに似ていることから名付けられました。上質なダージリンは、このマスカテルフレーバーの有無が重要な要素になっています。
クオリティーシーズン別解説!茶葉の特徴
ダージリンには収穫時期が3回あり、季節によってまったく違う味わいの紅茶を楽しむことができます。クオリティーシーズン別にそれぞれの茶葉の特徴を詳しくご紹介します。
ファーストフラッシュ:春摘み
3~4月に収穫される一番茶をファーストフラッシュ(春摘み茶)と呼びます。休眠後の最初に芽吹いた小さな茶葉を、丁寧に手で摘み取り作られています。このファーストフラッシュは、「グリニッシュ」と呼ばれる爽やかで若々しい香りが特徴で、味わいよりも香りを楽しむ紅茶ともいわれています。この季節の収穫量はとても少なく貴重なため、特に高値で取引されています。
▼茶葉の特徴
ホワイトティップ(新芽)を多く含み、鮮やかな緑色をしている。撚りも少なく、発酵も浅い。
▼水色
薄いオレンジ色、明るいレモンイエロー
▼味わい
ほのかな渋みと、緑茶のようなまろやかな旨味が広がる。繊細な味わいで若々しい香りが特徴的。
セカンドフラッシュ:夏摘み
5~6月頃は気温も上がり、気候の安定した茶樹の生育に適した時期となります。この頃に収穫される紅茶をセカンドフラッシュ(夏摘み茶)と呼んでいます。濃い霧に包まれて育った茶葉は、味、香り、水色のバランスがよく、ダージリンの中でも特にクオリティーの高い味わいが楽しめます。マスカテルフレーバーが強く感じられる茶葉が多いのもこの時期の特徴です。
▼茶葉の特徴
ファーストフラッシュよりも濃い褐色色で、撚りも整っている。
▼水色
琥珀がかった少し濃いめのオレンジ色
▼味わい
渋みが優しくなり、深い穏やかな味わいが特徴。和菓子との組み合わせもおすすめ。
美味しいダージリンの淹れ方
紅茶は一般的に、茶葉3g・熱湯150㏄・3分で淹れますが、ダージリンは他の紅茶に比べて茶葉の大きさや撚り、クオリティーシーズンなどの違いによって紅茶の淹れ方が変わってきます。まずは、商品パッケージに書かれた分量・時間で淹れてみてください。それから自分の好みに合うように、蒸らし時間をかえたりして調整するとダージリンの美味しさを最大限に楽しむことができます。
ここではファーストフラッシュの美味しい淹れ方をご紹介します。
ファーストフラッシュの淹れ方
- ダージリンファーストフラッシュ/4~5g
- 湯/300㏄
- 蒸らし時間/3~5分
- 汲みたての新鮮な水道水をケトルに入れて沸かす。5円玉くらいの大きな泡がボコボコとできるまでしっかりと沸騰させましょう。
- ティーポットにお湯を注ぎ温める。温まったら湯を捨て、しっかり湯切りする。
- ティーポットに茶葉を入れ、お湯を注ぐ。ファーストフラッシュは緑茶に似た味わいがあるため、お湯を注ぐ時に一呼吸おいてから注ぎます。100℃よりも少し低い温度で淹れると、紅茶の甘さや香りが引き立ちます。
- 蓋をして、お好みの時間までじっくり蒸らす。
- 蒸らし終わったらティースプーンでひと混ぜして、茶こしでこしながらティーカップ(もしくはセカンドポット)に注ぐ。
ダージリンは3つのクオリティーシーズンによって水色もまったく異なりますね。ダージリンを淹れる時は、その時期の水色を確認し見極めのポイントにしましょう。
一度は飲みたい!絶品ダージリン5選
ダージリンには3つのクオリティーシーズン紅茶や、通年同じ味を楽しめるブレンド紅茶があります。それぞれの美味しさを楽しめる、おすすめ絶品ダージリンをご紹介します。
シェドゥーブル/ファーストフラッシュマーガレッツホープ2019
シェドゥーブルは素材と味、香りにこだわったオリジナルブレンドや、フレーバーティーなどクオリティーを追求した日本の紅茶ブランドです。産地より直接空輸する品質のこだわりにより、摘みたての茶葉の美味しさと新鮮さを味わうことができます。ダージリンの茶園の中でも有名なマーガレッツホープ茶園のファーストフラッシュは、夜明け前の月明かりの下で芽吹いたばかりの柔らかい新芽と若葉を丁寧に手摘みし、丹精込めて仕上げられたスペシャルティーです。みずみずしく生命力に満ち溢れたダージリンの味わいと香りはまさに傑作の逸品です。
セレクティー/サングマ茶園セカンドフラッシュ
世界の紅茶を取り扱うセレクティーにも、上質なクオリティーシーズンのダージリンが揃っています。サングマ茶園は、ダージリンの西部ロンボンの谷標高1,400mに位置し、毎年銘茶を生産している代表茶園のひとつでもあります。夏摘みらしい明るいオレンジ色の水色、芳醇さを感じる口当たり、鼻に抜ける心地よい余韻、そして飲むたびにどんどん現れる紅茶の旨味、これぞ上質なセカンドフラッシュという印象のダージリンです。
リーフル/オータムナルキャッスルトンDJ-510
リーフルはクオリティーシーズンのダージリンをメインに、世界各国の厳選した紅茶を取り扱っている日本の紅茶ブランドです。キャッスルトンはダージリン南部に位置する小さな農園ですが、たびたび最高値で取引されることで有名なトップエステートのひとつです。オータムナルの濃厚な味わいと、香ばしくも爽やかな甘い香りは口に含むごとに存在感を増します。
マリアージュフレール/ダージリンプリンストン
マリアージュフレールは、言わずと知れたフランスの老舗高級紅茶ブランドのひとつです。優雅で上品なフレーバーティーの数々が有名ですが、品質の高いダージリンも人気の紅茶です。ダージリンプリンストンは、フレッシュなファーストフラッシュのみをブレンドした紅茶で、爽やかな風味とフルーティーな香りを楽しむことができます。すっきりした後味で、食事とも相性が良いです。
ロンネフェルト/ゴールデンダージリンアールグレイ
ロンネフェルトはドイツの紅茶ブランドで、世界中の一流ホテルや星付きレストランでも選ばれている確かな味わいの紅茶が揃っています。ゴールデンダージリンアールグレイは、秋摘みダージリンにベルガモットの香りをつけた贅沢なフレーバーティーです。深いコクとまろやかさが増した秋摘みダージリンは、ミルクティーにしても美味しく味わえます。パッケージもスタイリッシュで、プレゼントにもおすすめです。
まとめ
紅茶のシャンパンと呼ばれるインド紅茶のダージリンは、世界三大銘茶のひとつにも数えられるほど人気の紅茶です。爽やかな渋みと華やかな香りが特徴で、芳醇な味わいが口の中に広がります。ぜひ3つのクオリティーシーズンも飲み比べてみてくださいね。